暗い顔

コロナ禍が続いている。そちらに気が行ってしまっていたが、同じように毎日は続いている。平時も非常時も、とかくこの世は難しい。

家族もそれぞれ事情があり、楽しくない顔をしている。重苦しい。わたしに何ができるわけでもなく、私自身にも事情があり、波風が立たない穏やかな日々だけを望んでいるが、不可能。

毎日様子をうかがい、鬱屈してイライラしていると、
『なんだい、シケたツラしやがって。』
と、突然言いたい欲求にかられる。
『寅さんだよ。』
なぜか浮かんでくる。

しかし若い人は寅さんを知らないのだ。本当に発声するとただのガラの悪いクソババアになってしまう。慌てて飲み込む。すると、急に、寅さんが不在の時にみんなでメロンを食べてしまって大げんかになるというシーンを思い出して笑い出しそうになる。

ビールを飲みながら、ゴハンの支度をしている時のことである。